MHD数値シミュレーションの基礎 ニュートン流体力学方程式 (ニュートン)磁気流体力学方程式 相対論的流体力学方程式

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MHD数値シミュレーションの基礎 ニュートン流体力学方程式 (ニュートン)磁気流体力学方程式 相対論的流体力学方程式 相対論的磁気流体力学方程式 千葉大学・花輪知幸 一部のスライドは 高橋博之さんからの借用

保存形式 重力、遠心力、加熱・冷却

相対論的磁気流体力学 ー保存形式ー 原始変数

Gauss の法則 (Stokes の定理) 

保存量と流束 保存量はセル平均の値

評価点を変える は表面で評価 長所 自然に空間2次精度、磁束の保存 短所 補間による拡散、モードの分離 Staggered Mesh Constrained Transport は表面で評価  長所  自然に空間2次精度、磁束の保存  短所  補間による拡散、モードの分離

数値天文学でふつうの解き方 セルの面ごとに流束を計算し、その和により変化させる (方向別分離) セルの境界とベクトルは垂直 セルの面ごとに流束を計算し、その和により変化させる (方向別分離) fractional time step は流行っていない セルの境界とベクトルは垂直 円筒座標なら 航空などではセルを斜めにしても、」ベクトルはデカルトのまま。 拡散や加熱冷却は、流体の計算と別ステップ 流体は陽解法で時間変化を求める。 ガスは圧縮性 

セル内の物理量の分布 高階微分は変数としない。 セル幅より短波長の波を考えない 適当な物理量が一定とする CIPなどでは1階微分も計算 サブグリッドモデルは採用しない 適当な物理量が一定とする 角速度、温度などが一定とする セル内に圧力勾配を考える( LeVeque の方法)

課題 V → F → U 更新 → V 原始変数Vから 流束Fを求める 磁気モノポール(div B) の消去 空間精度 (2次以上) 衝撃波に対する安定性 負の密度、負の圧力の排除 カーバンクル不安定 時間精度 (2次以上) 磁気モノポール(div B) の消去 保存量U から原始変数V を求める V → F → U 更新 → V

数値流束計算で考えること 流束を求める点での物理量を求める 流束も時間変化する RR R L LL 物理量はセルでの平均値 時間方向に積分された流束が必要 RR R L LL

単純平均は失敗 ー奇妙な数値振動の発生ー

方向別分離: 1次元磁気流体力学方程式 7成分 div B = 0 の制約があるために自由度が減る。

(Sod の)衝撃波管問題 Riemann の解 ρ P By セル境界の値は「平均」でない! データはBalsara (1998) 

Godunov type solvers 波の伝播を考慮する 精密 面倒 Godunov (厳密解) Fast×2, Slow ×2, Alfven ×2, Entropy Roe (振幅の滑らかな変化を無視) HLLD (Fast と Slow を区別しない) HLLC (Fast, Slow, Alfven を区別しない ) HLL (中間状態をひとつだけ考える) 簡単 粘性大

Riemann 解と特性速度 ρ ξ = t/x

特性速度 対角化

Roe UL U1 U2 U3 U4 U5 U6 UR 衝撃波の Jump Condition Unとλn は UR と ULの関数

HLL UL UM UR λL とλR のとり方に多様性 保存則

特性速度 速い磁気音波 アルフヴェン波 遅い磁気音波 エントロピー波

セル境界での特性速度 Roe 平均 UL UR 保存量 U は W の自乗で表せる

固有モード f A s c s A f

固有モード 縦波 f, s 横波  A   エントロピー波 c   f A s c s A f

横波とエントロピー波は区別しやすい

縦波: Fast & Slow Ryu & Jones (1995)

特性速度は大きめに評価 速度差は実効的音速を増やす。 CA'* も平均の磁場からけいさんされるより大きい Cargo & Gallice (1998) 一般の状態方程式  Nobuta & TH, Mikami et al.

HLL 系では付加条件が必要 波の分解が不十分なので、整合条件だけでは足りない。 付加的な条件が必要 特性速度を大きめにとると、密度・圧力が正に保たれる (cf. Miyoshi et al.)

どこで特性速度を見積もるか 絶対値が大きいものが良い。 符号が同じなら平均で十分(とくに滑らかな変化の場合は平均が良い) 符号が変わる場合は、平均より絶対値を大きめにとる(エントロピーフィックス)

特性速度と数値粘性

数値粘性は必要悪 数値粘性は、波を熱に変える。 数値粘性をなくすと、余計な波を発生 下げないと熱発生源 実効的な分解能を低下させる 計算量を増加させる 数値粘性をなくすと、余計な波を発生

Courant 条件 波の伝播速度による制限 Courant数 |λ| Δt / Δx < 1 隣の隣に波が伝播しない 多次元では条件をきつくする 磁気力優勢の領域ではきつめに 許される範囲内でΔt は大きめに

境界条件 対称境界は容易 (鏡像をつくる) 反射のない境界(消極的な境界)は難しい 無駄な領域(袖)をつくる 対称境界は容易 (鏡像をつくる) 無駄な領域(袖)をつくる 袖の値は、元の領域から対称性により求める。 流束の計算よりさきに境界を処理 反射のない境界(消極的な境界)は難しい

Godunov 法でも誤差は残る 平均化による誤差 混合によるエントロピー増加 セル内を一様と仮定した誤差 空間1次精度

空間2次精度 線形補間ではうまくゆかない TVD: total variation dimishing Godunov の定理 「波の」単調性 (数値振動なし)

空間2次精度 (高次精度化) 変数が階段的に変わるとしたことが原因 変数が滑らかに変化していることを考慮 単純平均はだめ 元の木阿弥 「風上」性が失われる 補間のしかたに工夫が必要 面倒な公式が不可避 Godunov の定理 線形補間は×

風上性を考慮して外挿 極大・極小で不自然な振動 単調性の保持 (TVD) total variation diminishing

Minmod 補間 穏健な補間 勾配は少なめに

どの変数を補間するべきか 原理的には波の振幅(δwk) を補間すべき 流体力学では 原始変数を補間している。 保存量の補間は良くない。 温度より、圧力がまし。 磁気流体では、縦波・横波に分けて補間したほうが良い。 大振幅アルフヴェン波のテスト (Fukuda & TH) 角速度を補間すると良い。(対称軸の付近) 座標値やシフトベクトルは補間しない

時間2次精度 時刻とともに流束は変化する。 [t, t+Δt] で積分した値を求める。

進んだ時刻での物理量 Δt/2 進んだセル境界での原始変数を推定 Δt/2 あるいはΔt 進んだセル中心の解をもとめる。 MUSCL-Hancock Δt/2 あるいはΔt 進んだセル中心の解をもとめる。 Δt 進んだ解を使うほうが衝撃波に強い

方向分離の問題 波面の向きによる依存性 斜めの波は2成分に分離 斜めの情報は直接入らない ∇・Bの発生源

div B の消去 Hyperbolic Divergence Cleaning Dedner et al., JCP, 175, 645 (2002)

古典的な ∇・B消去 双極子磁場を付加 流体と一緒に流す 拡散させる

GLM形式 拡散しながら伝播 付加関数 ψ

付加関数の電信方程式 1ステップ弱で隣にモノポールを移動。 数ステップで消滅

GLM形式の成分表示と長所 陽解法 Poisson 方程式は解かない 遠方への影響は限定的

ideal RMHDのスキームはだいぶ確立されている 1983 HLL スキーム(Harten & Lax & van Leer ‘83) 2003 HLLスキームをRMHDへ応用(Gammie et al. ’03) 2005 exact Riemann solver (Bx=0) (Romero et al. ’05) 2006 exact Riemann solver (Bx\=0) (Giacomazzo et al. ’06) 2006 HLLC スキーム (Mignone & Bodo ’06, Honkkila Janhunen ’06) 2009 HLLD スキーム (Mignone et al. ’08) 2010 Roe スキーム (Anton et al. ’10) ideal RMHDのスキームはだいぶ確立されている

保存量Uから原始変数Vへ を独立変数とした1次元の非線形方程式 この式をNewton-Raphson法で解く Balsara ’01 5x5 Matrix Jacobian Komissarov ’99: 3x3 nonlinear eqns.(密度、圧力、速度の絶対値) del Zanna et al. ’03: 2x2 nonlinear eqns. (a equation?)(圧力、速度の絶対値) Mignone & Bodo ’06: a nonlinear equation. を独立変数とした1次元の非線形方程式 この式をNewton-Raphson法で解く (Mignone & Bodo ’06の論文には式の間違いが多いので注意) γ>100を超えるにはまだ難しい、、、

知っておくと良い知識 危険箇所 カーバンクル不安定 偽の加熱 既知の磁場と摂動 計算コストの削減 パレトの法則

カーバンクル不安定 等速度面 (TH, Mikami, Matsumoto)

危険箇所 伝播速度λが 0 に近いところ 磁気力が優勢なところ 特性曲線が集まるところ 衝撃波 特性曲線が開くところ 膨張衝撃波の危険 特性曲線が集まるところ 衝撃波 特性曲線が開くところ 膨張衝撃波の危険 定在衝撃波は解きづらい 磁気力が優勢なところ わずかな磁場の変化が流体に大きな変化をあたえる。 force free は計算しづらい

偽の加熱 Godunov 型で静水圧平衡を普通に解くと偽の加熱が発生 ρ v は「数値流束」を用いると良い。セル中心の値は良くない。 LeVeque (2003), Mikami et al. (2008)

既知の磁場を差し引く 強い双極子磁場をもつ場合 球座標で一様磁場をとく場合 Tanaka

計算コストの削減 実効的な分解能の2倍低下を、細かい格子で補うにと16倍の計算量増加 一般には高次精度のほうが得 コストを決めているのは2割の要素 パレトの法則 (2:8の法則)